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同期DMAと非同期DMA

GPU PostgreSQL SSD

おっとっと、やらかしてしまった(但し、良い方に)。

PG-Strom + NVMe-Stromでのパフォーマンス計測の際に、SSDからロードしたデータ以外に、例えばテーブル定義情報や定数パラメータといったSQLの実行に必要な情報は一般的なRAM-to-GPU DMAで転送していたのだけども、ココがうっかり同期DMAになっていたために、本来の性能を発揮できないでいた。

そこで、きちんと非同期DMAを実行できるようにコードを修正し、改めてPG-Strom + NVMe-Stromの実行速度を測り直した数字が以下の通り。じゃん。

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ワークロードは変わらず、以下の三種類のクエリを64GB/7億件のテーブルに対して実行した。

  • Q1: 比較的シンプルな検索条件を持つスキャン
  • Q2: 比較的複雑な検索条件を持つスキャン
  • Q3: 文字列マッチ(LIKE句)を持つスキャン

応答時間が概ね42~43secの範囲に収まっているのがお分かりいただけると思う。
これをスループットに直すと、64GB / 43sec = 1524MB/sec のレートでデータを処理できており、Intel SSD 750のカタログスペック 2200MB/s からすると概ね70%程度となる。

応答時間に殆ど差が見られないという事で、これは、GPUで実行するクエリの評価はI/Oよりも短時間で完了するために、非同期DMA転送の裏側に隠ぺいされてしまったと考える事ができる。

CUDAでは非同期で実行する個々のタスク(例えば、RAM=>GPUへのデータ転送、GPU Kernelの実行、など)の順序関係を制御するために、ストリーム(CUstream)という制御構造を持っている。
ある種当然ではあるが、ホスト側から送出されてくるデータを用いて計算しようというGPU Kernelは、少なくともデータ転送が終わらなければ実行できないし、計算結果をデバイス側⇒ホスト側に転送する時も、GPU Kernelの実行が終わっていないと、計算途中のGPU RAMのイメージを送りつけられても困惑する限りである。

CUDAの持つRAM=>GPUのデータ転送用APIには二種類あり、一つは cuMemcpyHtoD() などの同期API。これは、関数が呼び出された時点で呼び出し元をブロックし、RAM-to-GPU DMAを用いてデータを転送する。関数から戻った時点で、既にGPU側のバッファにデータの転送は終わっており、ストリームとは無関係に使用できる。
もう一つは cuMemcpyHtoDAsync() などの非同期API。これは、ストリームにDMA要求が突っ込まれた順番に、非同期にデータ転送を行う。GPU Kernelの実行開始なども、ストリームに要求が突っ込まれた順序を元にした依存関係を壊さないように、ただし、DMAチャネルなどのリソースが空けば待っているタスクはどんどん実行される。

ただし、cuMemcpyHtoDAsync()を用いても必ずしも非同期DMAになるかと言えば、少々落とし穴があり、CPU側のRAMを『ここはDMAバッファだからスワップアウトしないでね』とCUDAランタイムに登録した領域以外を転送元/転送先に指定した場合、黙って同期DMAモードで動作するのである。
今回の場合がそれで、本来はDMAバッファを cuMemHostRegister()で登録しておかねばならないところを忘れていた。Orz

結果、本来であれば次々とデータ転送を行えるところが、ストリームに突っ込んだ cuMemcpyHtoDAsync() が実行可能になるまでブロックされた挙句、同期DMAを行ったものだから、トータルの処理時間が随分と間延びした形になっていた。あーあ。

まぁ、スコアとしては前に計測した時から50%ほど伸びて、対PostgreSQLで見てみると、3~4倍程度のスループットを発揮しているので善しとしよう。