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さらばドイツ

日常

2011年2月にドイツへ赴任し、以降2年10ヵ月間、SAP社とのアライアンス業務に携わっていたわけですが、11月末で任地での業務を終了し日本へと戻る事になりました。

振り返れば、初めてフランクフルトの空港に到着した後、一歩外へ出たら氷点下の世界(注:ドイツの2月です)で『こりゃトンデモない場所に来たもんだ』と思ったものですが、まぁ、住めば都で何とかなるもんですな。

オフィスはドイツ南西のWalldorf市(SAP本社がある)。住むには少し規模が小さな街なので、隣のHeidelberg市の旧市街のマンションを借り、1月遅れで嫁さんも日本からやってきました。
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お仕事的には、2011年前後というのはちょうどSAP社がSUSE LinuxベースのインメモリDB製品 "SAP HANA" をぶち上げ始めた頃で、主に技術面でSAPやSUSEとの折衝や、HANA認定取得の実作業というのが駐在中のメインのお仕事でした。

NEC SAP HANA向けアプライアンスサーバを販売開始
http://www.nec.co.jp/press/ja/1203/0901.html

その他にも、NECのHA製品CLUSTERPROで、SAP NW~HA製品間で連携するためのインターフェース認証を取得したりとか。

NEC、「SAP HA Interface Certification」認定を取得した「CLUSTERPRO X 3.1 for SAP NetWeaver」を発売
http://jpn.nec.com/press/201210/20121002_01.html

この手の "○○認証" という仕事が多かったのですが、SAPの認定プログラムはちょくちょくおかしくて、例えば SAP Linux 認証プログラムは80コア/160HTのNECサーバの認定を通すために、SAPの認定プログラムの方を手直しして認定を通したりとか。

一方、OSS活動は工数の20%~30%を充当して良いという事を条件に赴任したので、まだ中途であるSE-PostgreSQLの開発も継続する事ができた。これは会社に感謝。ただ、OSS活動に専従という訳ではないので、MLでの反応が遅れたりと、コミュニティに対して少し申し訳ない。
ドイツに居る間に新たに開発してみたのが PG-Strom というモジュールで、クリスマス休暇の間にCUDAを使ってプロトタイプの実装を行ってみた。これがもう一つ、自分にとって軸となるソフトウェアになるかもしれない。
http://kaigai.hatenablog.com/entry/20120106/1325852100

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これをプラハでのPGconf.EUで発表した際に、非常に大きな反響があった事は"コレは行けるんじゃないか?"という確信に繋がった。これはNECに限った事なのか分からないけども、自分の組織の外に対して何かを発表し、フィードバックを得るという機会が極端に少ない、あるいはナイーブになっているような気がする。
そうすると、自分の提案したい事が第三者の視点から見て価値ある事なのか、そうでないのか確信できないので、上司にちょっとダメ出しされただけで萎縮してしまうという事に繋がらないか。
先日、晴れて四捨五入したらオッサン年代に突入したので偉そうな事を書くと、若い人は公式非公式を問わず、自分のアイデアを社外で発表する機会を持った方がよい。そうすると、上司のダメ出しが的を得ているのか、的外れなのか、自分の判断基準を持てるようになるから。

この辺SAPが偉いなと思うのが、SCN(SAP Community Network)という仕組みを用意し、Wikiやブログを通して開発者やパートナー企業とエンドユーザが直接意見交換できる仕組みが機能している事。例えば製品の変な使い方やプロトタイプ的に作ってみた機能(当然公式にはサポート外)をオープンにして、それに対するフィードバックを受けられるようにしている。
もちろん、これはSAPのように非常に強力なパートナー網、顧客網というエコシステムを持っているからこそできる事。同じ事ができる企業は非常に限られている。
ただ、エコシステムの主催者でなくともコントリビュータとして社外の意見フィードバックを活用するというのは可能。まさにOSSコミュニティが日常的に行っている事で、だからこそイノベーションがそこにある。

仕事環境で言うとドイツ人が偉いのは、きっかり時間通りに仕事を切り上げる事。
2011~2013シーズンはBaden-Hillsカーリングクラブでプレーしていたのだけども、毎週火曜日19:30~のリーグ戦に皆きっちり集まるのがすごい。日本のカルチャーでは難しい所もあるけど、ぜひ見習いたい。目前の業務にばかり時間を費やして、別の領域にアンテナを張る時間や余暇の時間がなければ新しい発想なんて生まれないし、それが中長期的には組織を徐々に蝕んでいく事になるんじゃないかと思った。
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その他、生活面では嫁さんが考えて日本食を作ってくれたので、病気をする事もなくきっちり職務を遂行する事ができた。感謝。結婚してからの3年間、風邪をひく事すら無くなった。
ヨーロッパに住んでいる事で、なかなか日本からは行きにくい場所を旅行できた事は役得だけど、書き出すとキリがないのでないのでこれはまた別の機会に。

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日本に帰った後は、SAPから離れて再びOSSの仕事に戻ります。
自分で手を動かしてコードを書くと同時に、それをお金に換えていく方法をデザインする事が求められているので、タフな仕事だけども、一つのロールモデルとして後進に示せれば良いかなと。

それでは明日、ドイツを発ちます。